2011年01月08日

コミックサイエンス撲滅宣言

科学者と、そこに近い領域で生活している皆さんへ

みなさんはコミックサイエンスという言葉をご存知でしょうか?コミックサイエンスとは、一見科学のようで、実際はほとんど科学的な根拠に欠けている「科学のようなもの」です。類似した言葉に「エセ科学」という言葉があります。コミックサイエンスは当たり前のようにマーケティングに利用され、私たちの生活の中に溶け込んでいます。

では、コミックサイエンスとは具体的にはどういうものでしょうか。

例えば、コラーゲンというタンパク質があります。コラーゲンは地球上の動物の体内に非常にありふれて存在するタンパク質です。極端な偏食などでなければ通常の食生活で何の不足もなくその原料となるアミノ酸を摂取することができ、そしてそれらをもとにして体内生産できるタンパク質です。コラーゲンの分子量は非常に大きいので、コラーゲンを肌に塗ってもそれは経皮吸収されませんし、経口摂取してもコラーゲンとして体内に吸収されることもありません。コラーゲンを食べた場合、それは胃液などで消化され、ペプチド(アミノ酸が複数結合したもの)やアミノ酸に分解されます。分解されたペプチドやアミノ酸は小腸から体内に吸収され、体内で生産されるコラーゲンの原料として利用されますが、これらを「コラーゲン」というタンパク質で摂取する必要性は全くありません。したがって、「コラーゲン」を表記されているものを塗ったり、あるいは食べたりしても、肌がぷりぷりになるといった効果は特段期待できません。単に、タンパク質を摂取しているのと何も変わらないのです。

要すれば、牛にどんなにたくさん豚肉を食べさせたところで、その牛が豚のような味にならないのと一緒です。

こうしたことは理系で生物を勉強した人なら、ほとんどが常識として知っていることです。ところが、「コラーゲンは肌に良い」といった、“現在の科学的知見からはほぼ間違いと判断される情報”がマスコミや企業の広告活動によって流布されているため、多くの方々が「コラーゲンは肌に良い」と勘違いし、コラーゲンが配合されていることに付加価値を見出しています。なぜこのようなことになるのでしょうか。なぜ、たくさんの「本当のことを知っている人たち」は黙っているのでしょう。

ひとつには、「コラーゲンは本当に肌に良い影響を及ぼさないのか?」という問いに対して、「絶対に及ぼさない」と完全否定できないということがあります。私たち科学者は、安易に「絶対」という言葉を使ってはいけないことを知っています。また、どこかで「コラーゲンなんて普通に動物性タンパク質を摂っているのと何も変わらない。コラーゲン配合を謳っているのはほとんど詐欺だ」などと発言した際に、「コラーゲン配合」を謳っているメーカーから名誉毀損で訴えられたりしたときに面倒くさいと思うのかも知れません。あるいは、「コラーゲンをありがたがっているのは単に無知なだけ。可哀相だけど、別に教えてやる義理はない」と思っているのかも知れません。

しかし、科学者や、そこに近い領域で生活している人たちは、ここで一度立ち止まって考えてみてください。科学者は、事実を前にしたときに、その事実に対して敬虔であるべきだということを知っているはずです。事実を尊重しなくてはいけないことを知っているはずです。科学とは、事実をさまざまな角度から見て、その背後に隠されている真理を理解することのはずです。私たちが、世の中に横行しているコミックサイエンスを黙認、許容することは、捏造、インチキ、擬似科学を受容することと何も変わりはないのです。確かに、「絶対にコラーゲンが肌に良い効果を及ぼさない」とは言い切れないかも知れません。しかし、「ほぼ間違いなく、良い効果は得られない」ことは知っているのです。そのことについて黙っていることは、事実に対する冒涜ではありませんか?そして、それを許容することは、自らの科学者としての存在意義を否定することになりはしませんか?

先日の事業仕分けの際、科学技術関連の予算に対して厳しい評価が下されたのは記憶に新しいところです。その原因は多岐にわたると思いますが、科学者以外の人たちに対して、科学者達がきちんとしたコミュニケーションを実施してこなかったことにも大きな原因があるとは思いませんか?私たちが知っている科学を、きちんと科学者以外の人たちに伝えていくことが必要なのではありませんか?

科学者は、科学を愛し、科学を推し進め、そして科学を有効に利用して、人々の暮らしが豊かになっていくことを希求しているはずです。科学は、人を騙すためのものではないはずです。そして、コミックサイエンスは、この思いに反するものです。この「科学のようなもの」は、科学者の存在意義を貶めるものであり、また、科学に対する信頼を毀損するものです。私たちは、「科学」と、「科学のようなもの」をきちんと見分け、それをわかりやすく情報発信していくことが必要だと考え、「コミックサイエンス撲滅委員会」を設立するとともに、以下の「コミックサイエンス撲滅宣言」を採択しました。

コミックサイエンス撲滅宣言
私たちは、私たちと私たちの子孫のために、科学による成果とそれがもたらす恵沢を確保する。

私たちはさまざまな自然現象の背後にある真理を尊重し、それを理解することにつとめ、そこから得られた知見を適切に社会に還元することを責務としていることを確認するとともに、科学の発展を念願する。

私たちは普遍的な自然法則に従い、それを有効利用していくことが責務であると信ずるとともに、科学と、科学に反する一切のものとを明確に分離していくことにより、科学の地位向上を目指すことを宣言する。


この宣言に同意してくれる方は、是非、みなさんの各種情報発信ツール(ウェブサイト、ブログ等)に委員会のバナーを貼り、このサイトへリンクしてください。そして、可能であれば、コミックサイエンス撲滅委員会に参加してください。このサイトでは、今後、様々なコミックサイエンスを取り上げ、その内容が科学的にどの程度正しいのかを評価して行きたいと思います。こうした活動が一般の生活者のみなさんにどの程度支持していただけるかはわかりません。しかし、多くの人たちが、「実際はコラーゲンって、どうなんだろう?」「特保ってどのくらい効果があるの?」と思っているはずです。そうした人たちに対して、わかりやすい言葉できちんと事実を伝えることは、非常に大事なことだと考えます。

みなさんのご支援、よろしくお願いいたします。

文責:コミックサイエンス撲滅委員会

#なお、このメッセージはつねにこのサイトのトップに掲載されます。
posted by buu at 23:34| Comment(28) | 宣言 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年01月07日

バナー

コミックサイエンス撲滅委員会のバナーです。賛同していただける方は、このバナーをご利用ください。リンク先はこのサイトのトップページへお願いいたします。

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posted by buu at 00:00| Comment(0) | バナー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年01月19日

中国でも問題発生

「コミックサイエンス」という名前が一部で色々取りざたされているようですが、中国では映画「アバター」について「表現が不適切だから削除すべき」という意見が出ているとのこと。

大ヒット映画「アバター」に中国批判のメタファー=ネットユーザーは削除求める―中国

ネットユーザーの多くは「中国のイメージを汚さないよう、龍のマークを削除してほしい」と希望している


どこまで本当かはわかりませんが、この記事が本当なら、表現についてあーだこーだ文句を言うのは日本のネットユーザーだけではなかったようです。
posted by buu at 00:48| Comment(1) | 雑談 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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